平安に生きて

新選組!完全版 第五巻 [DVD]


新選組!」をレンタルしてきて少しずつ観てるのですが、
浪士組が京都に入ったあたりで、芹沢鴨が好き放題し始めて、
燃えよ剣」であんなに土方土方言っていた私は、結局は芹沢芹沢と言っています。
あんなの佐藤浩市が演じたらダメだよ。かっこよすぎるよ。
そしてかっこよさに参ると同時に泣いてもいます。
絶対に誰も泣かないようなシーンで泣いてます。
なんであんなに鴨で泣けるかな。
すっごい嫌な人なのに、時折見せる弱さにぎゃふんと言わされています。
実際にどういう人だったかは別として、
こういう人物を描くのが三谷幸喜はうまいですね!
そしてこういう人物を演じさせると佐藤浩市の右に出る者はいないですね!
あれが佐藤浩市じゃなかったら泣けたかどうか。


自分の努力や才能の上にある自信に満ちた人は素敵だと思います。
それをひけらかすことのない人がたぶん最強の人で、
そういった謙遜の精神は日本人の美徳らしいけど、
私はひけらかしちゃうのもありだと思うのです。
さらに言うと、努力と才能がなくても、
あるふりをするっていうのも、ある程度は必要だと思うのです。
特に侍は弱気だと命の保証もないという時代に生きているから、
虚勢張るのも生きていく手段であったとも言えるし。
そういう強さと弱さが同居してせめぎあっているのが見えるから、
鴨がどうしても魅力的に見えてしまうんですね。
しかも一度捨てた命だとか言って達観しているようでいて、
なんか子供みたいな駄々をこねたりするっていう矛盾がなんとも人間らしい。
ダメなことに気付きつつも虚勢張って空回りする人や、
ダメなことに気付かず根拠のない自信に満ちた人は愛おしいし、
そういう人がたまにしょんぼりしてると、男女問わずころっと好きになります。
そんな人ばっかりだと、世の中成り立たないだろうけどね。


「この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」
という、藤原道長さんの有名な俺様歌があります。
これを習った中学生当時は、う〜わ〜嫌なヤツ〜と思っていました。
高校生で詳しく「枕草子」を習ってからは余計に、清少納言びいきになったので、
清少納言が仕えた中宮定子の父である道隆びいき、定子の兄である伊周・隆家びいきで、
ライバルであった道長一派はどうしても好きになれないんですけど、
実際に自分が平安時代の京に生きていたとして、
どっかの邸にいる女房だったらと想像してみたら、
ミーハーな私のことなので、
「いとめでたし(ちょう素敵!)」
なんてことを言っているような気がしてきました。
そうやって客観的に考えたら、道長もけっこう好きかもしれません。


ただやっぱり、若い時分で高官に命ぜられて、たぶんユーモアなんかもあって、
それはもう華やかな人だったのに、うまく時流に乗れなかったせいで、
没落してしまった伊周の不幸っぷりを思うと、
道長のあの歌なんかは、雅やかな平安時代において最も華やかなもので、
嫉妬の意味も含めて憎々しいと思ってしまうこともしょうがないのです。
その影には伊周や中宮定子、清少納言の涙があったんだなあと思ってしまうから。
平安時代の、特に道長たちの生きた時代はそうやって生きていくしかなかったから、
誰が悪いとかそういう話でもないのだろうけど。
きちんと読んだことがないので、そのうち「大鏡」や「栄花物語」を読みたいです。
幕末の侍の話をしていたつもりが、いつのまにか平安貴族の話に・・?
私がこうも平安好きなのは、高校の時の古典の先生が好きだったことが大きいけど、
よくよく考えるとルーツはやっぱり漫画だったりします。
小学生の頃に一生懸命読んだジャパネスク。
大人になってからどうしても読みたくなって文庫で購入し、
小説も漫画も全巻読破しました。
人妻編も楽しく読んでいます。


なんて素敵にジャパネスク (集英社文庫―コバルト・シリーズ)
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