動の方

Do You Remember Rock’n’Roll Radio?

Do You Remember Rock’n’Roll Radio?

こっちはジャケ買いです。
青春やらロックやらバカの文字が帯に踊っていては、
買わずにはいられません。
この物語は完全な青春仕様で、舞台はもちろん学校。
嫌なやつとかおもしろいやつとかが混在している狭い世界で、
仲間とバカ話をしたり、何やら画策したり、
落ち込んだり背中に羽が生える心地になったり、喧嘩したり、
そういう普遍的な学校生活の話です。


だけど、たとえば「翼はいつまでも」のように、
主人公が電車を追っかけて走るとか、
「69」のようにみんなでバリケード作るとか、
おそらく青春時代に生きてる人じゃなきゃできないことで、
とはいえ青春時代にもできない人の方が多いそういうことを、
青春時代を生きる主人公たちがやってくれてます。
嫌な大人の鼻をあかしてやろうと起こす彼らの行動は、
私ができなかったことでもあり、爽快な気分になりました。
単純だし先が読めるけど、楽しめます。
二時間くらいで読めたので、読書嫌いの人でも大丈夫じゃないでしょうか。
それと、タイトルや装丁からもわかるとおり、ロック好きには読みやすいかも。
いちいちその場面のBGMが流れてくるような気分がして、臨場感もあります。
私には知らない曲もあったけど、それでも問題なく読めました。


あと、会話とギャグのおもしろさが秀逸!
小説で思わず吹き出したのは「NR」以来のことでした。
単純におもしろいです。
もちろん青春時代ならではの切実な願いとか、祈りもあるんだけど、
元気になりたい時に読めば元気が出るような、そんな本です。
一言で言っちゃえば漫画みたい。
同じ著者の、全然毛色の違う(らしい)本がもう1冊出てるようなので、
ちょっとそれも読んでみたい気がします。


石田作品が落ち着いたものだったので、
その後は元気なのが読みたくなったものの、
静と動の振り幅が大きくて少し戸惑いました。
自分で選んだのに。
今は吉田修一の「ひなた」を読んでおります。