読書日記 -15日分-

こまめにメモっておかないから、
どんどん何を読んだか忘れています。
そのために記しておこうと思ってんのに!
ひとまず、思い出せる範囲のことだけでも書いておきます。
たぶん、長崎乱楽坂の感想から書いてないはずです。


長崎乱楽坂

長崎乱楽坂


これを読んでから長崎市内へ観光へ行ったら、
とても感動しました。
主に坂道に。
タモリが坂道にこだわる理由がなんとなくわかりました。
吉田修一の夏の描写が好きです。
じりじりと暑い、大好きなあの感じを思い出します。


オーデュボンの祈り (新潮文庫)

オーデュボンの祈り (新潮文庫)


めっちゃくちゃおもしろかった!!
私はファンタジーっぽいものに苦手意識を持ってしまっていて、
これを読む時もその意識を持ったままだったはずなのに、
そんなの忘れてしまうほど、するりと入り込めました。
父の実家が対馬なので、離島特有の閉塞感が思い出されました。
実際にカカシがしゃべることなんてないし、絶対にない世界だと頭ではわかっていても、
対馬に行って帰ると、ファンタジーの世界から現実に戻るような気分になっていた私には、
なんとなくありえない話ではないというような、
妙な現実感を持ちながら読みました。
これがデビュー作っていうんだからすごい。
そして、ストーリーのおもしろさももちろんのこと、
その現実感をよりリアルにさせるキャラクターたちが魅力的。
神様のレシピの話もよかったです。
きっといつか読み返すはずの作品。


ラッシュライフ (新潮文庫)

ラッシュライフ (新潮文庫)


オーデュボンに刺激されて引き続き伊坂作品を読みました。
これもおもしろかった!
でも、「オーデュボン〜」直後に読んだので、
インパクトでは負けていました。
ただ、この数冊で私はこれからもこの人の本を読み続けるだろうと確信しました。
本の中に入り込んで、作品に参加している気分になります。


重力ピエロ

重力ピエロ


謎解きがあったりして、割とミステリーっぽい作品。
私の中での伊坂作品の位置づけはミステリーではないので、
あえてこういう説明をつけました。
(書店ではミステリーの棚に並べてあることの方が多いです)
兄弟の話で、案の定兄の方に必要以上に感情移入をしながら読みました。
下は上に心配されるようにできているとつくづく思います。


ダ・ヴィンチ・コード〈上〉

ダ・ヴィンチ・コード〈上〉


ダ・ヴィンチ・コード〈下〉

ダ・ヴィンチ・コード〈下〉


突然の海外ミステリー。
普段翻訳ものはほとんど読まないのだけど、
たまたま会社の人が貸してくれたので読んでみました。
読み慣れるまでに時間がかかったけど、
多くの人に絶賛されているだけあって、
内容がすごいのであまり苦になりませんでした。
私の中では映画が小説に勝つことはなかなかないのですが、
この作品に関しては、映画でまず観たかった!というのが正直な感想です。
実在する絵画や建築物が数多く出てくるので、
どうせならその美しさや不思議を、
この目で見ながら謎解きを楽しみたかったです。
映画、観に行くだろうな〜。


死神の精度

死神の精度


死神が主人公の話です。
やっぱりファンタジーの匂いがする。
でも、そこは伊坂幸太郎
テーマは死なんだけど、重すぎないし、
全然ファンタジーで終わらないんです。
各章の各人物に、とある死神がついてまわるのですが、
この死神が、ミュージック(と本人は呼ぶ)が大好きで、
クールなのに常識はずれな部分もあり、
なんだか人間味があっておもしろいのです。
いつか必ず死ぬという現実を知りながら、
人はそのことをさして意識もせずに生きています。
そこが怖いところでもあるけど、
やるせない出来事があっても、生きていくことはできる、
人間の強さも感じられました。
感想を書くと陳腐なんだけどね。


グラスホッパー

グラスホッパー


これは怖い!
暴力も怖いけど、なんといっても狂気が。
読み終えた後、無常観でいっぱいになります。
だけど、一息で読ませる吸引力がありました。
細かいところでは、蝉や鯨、槿など、
殺し屋の面々のコードネームが好きでした。
耳の奥で電車の音が鳴り続けるような感覚に陥るラストシーンの後、
映画のエンドロールのように、
記憶の中の断片的な映像がフラッシュバックしてきました。
殺し屋の話なんて、やっぱり現実的ではないんだけど、
壮絶な生き様と死に様が、絶対的に現実的でした。


魔王

魔王


引き続き怖かったです。
これも、狂気が。
ことさら人の静かな狂気が怖い。人々の集合体が怖い。
主人公の不安感と、呼応するようなかたちで、
私まで色々なことがどんどん不安になりました。
その不安の正体が私にはわからない。
それが怖いのです。
正直、これは読まないでもよかった。
もしくは、私が読むのには早かったのかもしれません。


そういえば、書くのを忘れていたけど、
伊坂作品を読むうえでおもしろいのは、
以前の作品の登場人物が、その後の作品にも登場したりするとこにもあります。
脇役だったり、会話の中だけだったりですが、
そういうリンクを見つける楽しみもあるかもしれません。
この作品にも、もちろん誰かが出てます。


まどろむ夜のUFO (講談社文庫)

まどろむ夜のUFO (講談社文庫)


著者はかわれど、またも怖い作品を選んでしまいました。
これも狂気が怖い。
そういうのを選んでいるつもりはないのに、
読んでいるとどんどんそんな展開になっていきます。


私にしてはめずらしく女性作家の本を手にしました。
何編か収録されていますが、出てくる女性が共通して、
妙に冷めていて、どこか適当で、
なんとなく節操が無くて、あけすけな感じです。
それは女性作家だから描ける女性の姿かもしれないけど、
私にはどうしても共感できませんでした。
うすら寒い思いが残るだけ。
それは私の脳みそが男脳寄りだからなのか(とあるテストの結果)、
清く正しい少女漫画で育ったせいなのか、
それはわかりませんが。


凍りのくじら (講談社ノベルス)

凍りのくじら (講談社ノベルス)


とかなんとか上で書いておきながら、
また女性作家のを手に取り、今度は感動して大号泣。
しかもこの作品の主人公も、冷めていて適当で、
どことなく現代的な感じの性質を醸していたというのに。
上に書いたことからとことん矛盾してます。
まあ、作家によって合う合わないはあるということです。
この作家は確実に漫画で育っているから合ったのでしょう。


この作家の他の作品を読んだこともない私がそう言いきれるのは、
藤子・F・不二雄先生を尊敬していることがこの作品からわかるからです。
そもそもこの本を書店で手にとったのは、
帯にちらっと「藤子世界がどうのこうの〜」と見えたからです。
私の好きな「藤子世界」とも限らないと思いつつ、
中を開いてみると、各章につけられたタイトルが、
全てドラえもんがポケットから出す道具の名称だったのです。
それを確認した時点で即買い。
私の部屋には本のストックがたくさんあって、
買ってからしばらく寝かせてから読むことの方が多いのだけど、
これは買った翌日からすぐ読み始めました。
そして途中からは続きが気になってしょうがなくなり、
睡眠時間を削って読破しました。


近頃異常に涙腺の弱い私が、
借りて読んだいわゆる「セカチュー」で少しも泣けなくて、
他のどの本を読んでも小説で号泣した覚えは一度しかないので、
そんなもんかなあと思っていましたが、
10年以上ぶりに本にあんなにも泣かされました。
未だに「流氷」「テキオー灯」のキーワードだけでぐっとくる。


藤子世界がこの作品とどう関係しているのかというと、
主人公の父親が藤子先生を尊敬しているという設定でした。
そして、お父さんっ子だった主人公も当たり前のように、
ドラえもんの世界の話をします。
その話を聞いて(読んで)いるだけで、私は楽しめました。
ドラえもん世界を見つめる目線が尊敬に満ちていて、
作家も、主人公も、父親も、
本当に藤子先生を愛しているんだと感じられます。
そして、その空気感は同じく藤子先生を尊敬する者にとって、
最も居心地の良い世界でした。
だから、それだけでも私はよかったんです。
反対に言えば、藤子先生やドラえもんに対して、
そんなに思い入れのない人が読んだら、
あんまりよくわからないんじゃないかと思います。


道具の名前がついた各章では、
その道具について主人公が言及していくのだけど、
その解釈がとても興味深くておもしろかったです。
また、藤子先生が自分の作品について常に言っていた、
「SFと言っても、少し(S)不思議(F)という意味のSF」
という言葉を借りて、主人公が自分の周りの人物に、
「スコシ・ナントカ」という個性を当てはめていく設定も、
わかりやすくてよかったです。
突然姿を消した父親。病床に着きもう長くない母親。
現実を見つめるのが怖くて逃げている主人公。
現実を見つめているつもりで見えていない元恋人。
現実を生きる友人たち。
私生児の少年。その家政婦。
全ての人物に「スコシ・ナントカ」という個性が、
少女によって貼り付けられている。
そして重要人物である「スコシ・フラット」な青年。
彼女が彼に救われたように、私も救われました。
それは、ドラえもんの世界を通しているからこそ響く。
全編にちりばめられた藤子先生の世界の断片。
その設定がとても生きていました。


悲しくて幸せな物語を、
もうこの世にはいない藤子先生と、主人公の両親のことと、
あとは自分自身の父のことを想いながら読んでいたら、
悲しいのか幸せなのか、涙が止まりませんでした。


そして、この作品にも出てくる人間の狂気。
ドラえもんの優しい世界の対極にあって余計に恐ろしく、
目を逸らしたくてたまらなかったけど、
無理矢理突きつけられたという感じでした。
仕方がないとは思いたくない。
どうしてそうなってしまったのかを考えられる人でありたいです。


とにかくいいお話でした。
これも読み返す。絶対に、何度も。
ノベルスじゃなければもっと注目されたんじゃないかなと思ったり、
ノベルスだからできたのかなあと思ったり、
ノベルスの棚なんて普段は見ないのによく見つけたなあと思ったりしました。
この本を見つけ出せたことが私は嬉しいです。


砂漠

砂漠


着々と伊坂作品を読んでいますが、この「砂漠」は、
「アヒルと鴨〜」や「オーデュボン〜」に並ぶ好きな作品でした。
何度も書いているけど、伊坂作品の凄さは、
登場人物たちの個性豊かなキャラクターにあると思っていますが、
この作品ではその部分が冴えに冴えてます。
大学で出会った仲間たちを中心としたストーリーなのだけど、
自分もその一員になったかのような臨場感がこの作品にはあって、
あっという間だけど、思い出せばあんなこともこんなこともあったね、
っていう独特の学生生活を、気付けば一緒に過ごしていました。
悔しかったのは麻雀がわからないこと。
知らなくても問題なく楽しめましたが、
知っていればもしかしてもっと楽しめたのかもしれないと思うと悔しい!
楽しいことばかりではないけど、終始爽やかに展開していくのは、
主人公たちが青春時代を生きているからで、
既に砂漠に放り出されてしまって、歩き出せずに途方に暮れている私にとって、
懐かしくもあり、羨ましくもある世界で、
同時に耳が痛いなとも思ったりしました。
西嶋みたいにずっと生きていければいいのに。


LOVE

LOVE


この著者の本は、以前「サウンドトラック」を読んで以来。
前回も今回も購入した理由は全く同じで、
吸い寄せられるような感じでのジャケ買いでした。
読んでみると、とりたてて好きな文章でもないし、
読んでいる間は特別何も思わなかったりするのだけど、
読んだ後には確かにおもしろいと感じていて、
静かに押し寄せてくるような感情の高ぶりがあります。
この本を片手に猫を眺めながら品川を歩くのも楽しいかもしれません。



私の好きな作家、吉田修一伊坂幸太郎ほか、
12人の作家からなる短編集です。
それぞれA面・B面の二編からなる構成で、
同じ出来事でも違う主人公の違う視点から、
ストーリーを二度楽しめるという趣向のものでした。
そういった趣向はおもしろいし、
12人の作品が読めるのでお得感もあるのだけど、
私自身が元々短編が苦手ということもあって、
なにか物足りない感覚のまま、数時間で読み終わりました。
ただ、私は美容院に持って行って読んだのだけど、
ああいった集中力が途切れがちな場所で、
短いスパンで淡々と読めるという意味では助かりました。
それぞれの話はおもしろいものばかりですが、
当然ながら、読み応えにこだわる人には向いていないです。
集中力のない人にオススメ。(失礼)


さようなら、ギャングランド ~「このミス大賞」シリーズ~

さようなら、ギャングランド ~「このミス大賞」シリーズ~


これ、私の大好きな世界です!
男たちの社会。ギャング。青春。
スピード感があって、読み終わるまであっという間。
ドキドキできて、爽快感も得られたので満足。
バカなシドと、バカなニニを思うと、やるせなかったです。
男と女って・・、とギャング小説に考えさせられる、
どこか間違っている私。
逃亡作法とこれしかまだ読んでいないけど、
主人公がクールでかっこいいし、
舞台となる街の雰囲気や空気、臨場感が好きです。
1年以上前に買ったまま読んでいなかった、
ラム&コーク」も早く読まなきゃ!
この本の装丁も好き。


で、先日感想を書いた、「ロックンロール七部作」で15冊。


すごくたくさん読んだ気がしてたのに、
数字にするとそうでもないんですね。
これ以前の読書日記は、ほとんど三日坊主のような有り様ですが、
一応、昨年にどれだけの本を読んだのか数えてみると、
活字の本だけで50冊強というところ。
そのほとんどが男性作家による青春ものという偏った選択でした。
でも今年もきっと同じようなものを選択していくと思います。
ひきつづき舞城王太郎伊坂幸太郎吉田修一金城一紀は読むし、
今後は古川日出男東山彰良石田衣良を読むと思います。
石田衣良IWGPしか読んでないのだけど、
近頃急に違うのも読んでみようかなという気分になり、
何冊か買ってストック棚に置いてます。
今年は100冊読めるかな〜。
倍のスピードで読まなきゃ!


ご近所物語 完全版 4 (愛蔵版コミックス)ご近所物語 完全版 3 (愛蔵版コミックス)ご近所物語 完全版 2 (愛蔵版コミックス)ご近所物語 完全版 1 (愛蔵版コミックス)









その他、量は減ったけどあいかわらず漫画も読んでいます。
ご近所物語・愛蔵版」なんて、
高校生当時に揃えたコミックスを今も全巻持っているのに、
出てしまったら買わずにはいられませんでした。オタク魂・・。
矢沢あいの漫画は全部好きだし、
NANA」なんてスーパーヒットを飛ばしてますが、
私にとってはどうしても「ご近所物語」の方が特別。
久々に読み返したら、その想いを再確認しました。
大学をやめて専門学校へ行くことで悩んでいた時、
よく読み返しては、背中を押してもらう気分になったものです。


そういうことがあったりするから、読書はやめられません。